例   言

本資料は、日本放送協会所蔵の『NHK ラジオ放送番組確定表』と『NHK FM放送番組確定表』の記載事項に基づき、それを補完、訂正するため、番組通知票控え、番組制作ノート、未完の部内資料「現代の日本音楽・作品目録」、NHK 保存テープ、当時の音楽会プログラムを基本資料として編集された。

なお現代邦楽作曲家連盟が、昭和43年(1968)に、当時24名の邦楽畑の作曲家を対象に調査し回収した作品リスト(カード式 未刊行)があり、貴重な資料となった。また現代邦楽作品は、文化庁の芸術祭とは切っても切れない関係にあり、芸術祭受賞者(作品)は『芸術祭五十年 戦後日本の芸術文化史』(文化庁監修 1995年12月 東京 株式会社ぎょうせい)を参照した。

ここで『番組確定表』について、簡単に説明しておこう。これはNHKの放送を、記録の上からたどることができる唯一の第一次資料である。大正14年(1925)3月22日(日)に仮放送(本放送は同年7月12日)が開始されて以来こんにちまで、『番組確定表』には、テレビ、ラジオ、FMの国内放送はもとより、国際放送にいたるすべての放送番組が記載されている。番組担当者は、番組の放送日時・曜日、放送メディア、番組名、番組内容、出演者などの番組情報を、番組通知票という伝票に書き、放送数日前までに提出する。しかし、番組内容や出演者を網羅的に通知票に書いても、確定表の紙面の都合上、その一部は削除される。また放送当日、突発的な変更はしばしばある。番組変更のたびに、編成局の担当者が確定表に書き込みをし、後日製本されて保存される。筆者が調査の対象とした確定表は、これである。厳密にいえば放送前の確定版であって、放送の完全な記録ではないが、これ以外に放送の事実を調べる手だてはない。


1) 表記について
『番組確定表』に準拠したが、作曲者の表示をそのまま記入した例もかなりある。その他用字用語については、『NHK 編 新用字用語辞典』(日本放送協会編集 1985年9月第10刷 東京 日本放送出版協会)によった。
   
2) 出演者、作曲者の襲名、改姓・改名について
この番組が放送された昭和39年(1964)4月から昭和47年(1972)3月までの期間に使われた氏名、芸名に限った。
   
3) 洋楽器名の略記号と音楽用語について
洋楽器名の略記号は、書物によって省略の仕方にバラつきがある。本書では、小川昂編『洋楽索引 作曲者と原題と訳語を引き出すための』(1975年11月 東京 民音音楽資料館)を、また音楽用語は『放送音楽用語』(日本放送協会総合放送文化研究所編 1966年3月 非売品)に準拠した。ただし、例外は「嬉遊曲」で、『放送音楽用語』では「喜遊曲」となっているが、作曲者の表記にしたがい「嬉遊曲」とした。